マニー株式会社
新工場スマートファクトリー化による
グローバル生産基盤の改新
同社は「世界一の品質を世界のすみずみへ」を営業方針とし、世界一品質への強いこだわりのもと、患者と医師の役に立つ製品を創り続けてきました。
こうした高品質なものづくりをさらに進化させるため、新たに立ち上げたのが、スマートファクトリー化を志向したパイロット工場「花岡工場」です。
ベトナムをはじめとする海外拠点での生産を進める一方で、自動化・デジタル化による革新的な生産モデルを日本で確立。
それを国内外の生産拠点すべてに展開することで、さらなる競争力強化を目指しています。
この構想を推進する基盤として導入されたのが、アルプス システム インテグレーション株式会社(以下、ALSI)が販売するMES(製造実行システム)「DELMIA Apriso」です。
本システム導入の理由やプロセス、効果、今後の展望について、生産本部 生産技術グループ システム技術ユニット マネージャーの駿河 直也氏にお話を伺いました。
生産本部 生産技術グループ
システム技術ユニット マネージャー
駿河 直也氏
(左から2人目)
新たな生産技術を日本で確立し
グローバルに展開することで
競争力をさらに強化する
まずは、スマートファクトリー新設の背景をお聞かせください。
生産本部 生産技術グループ
システム技術ユニット マネージャー
駿河 直也氏
次世代のものづくりを担うスマートファクトリー、それが花岡工場です。
当社の生産拠点は地元栃木県のほか、ベトナム、ミャンマー、ラオスに所在し、現在は海外移管などにより9割をベトナムで生産しています。
もともとは人件費面での優位性を背景に海外へ展開してきた経緯がありますが、近年は海外でも人件費が上昇しています。
そうした環境変化の中で、もう一度日本でのものづくりを見直し、自動化・デジタル化による新たな生産技術を確立したうえで、それを海外へ展開していくことが重要だと考えました。
花岡工場は、その戦略の中核を担う施設として位置づけられています。
花岡工場の特徴と、駿河さまの役割について教えてください。
花岡工場が目指したのは、従来の4倍の生産効率を実現すること。
その実現に向けて、生産そのもののコア技術については従来の強みを生かしつつ、製造オペレーションや検査、データ取得といった周辺領域の自動化・デジタル化を進めていきました。
花岡工場は2025年から稼働していて、高品質を維持しながら労務コスト上昇に左右されない強い生産体制を築いています。
グローバル生産体制の強化に向けて、ここで確立した高効率生産の仕組みを、ベトナム工場をはじめとする海外生産拠点にも展開していく予定です。
また、もともと国内で行っていた製品開発や新製品生産をさらに拡大することも当工場の役割の一つです。
主力製品である眼科ナイフや歯科用根管治療機器JIZAIの生産と新製品の生産立上げも花岡工場で行っています。
また、私の役割は、生産本部の生産技術グループの中のシステム技術ユニットのマネージャーです。
生産技術グループには、設備や機械を担当する部門と、生産系システムを担当する部門があり、私は後者に所属していて、システムの導入を通じて生産における自動化や効率化を推進する業務を担っています。
標準に業務を合わせるのではなく
製造に最適なシステムをつくる
その思想に応えたのがDELMIA Apriso
MES(製造実行システム)を検討する際に重要視したことは何ですか?
生産を行うために機械設備とMESの連携は欠かせません。
花岡工場はスマートファクトリーとして立ち上げるため、製造工程の管理だけでなく、生産から在庫・品質・保守管理まで、サプライチェーンに含まれるあらゆる業務を管理できる次世代型のMESが必要でした。
また今後は花岡工場の生産技術を国内外のほかの生産拠点へ展開していく構想があります。
そこまで視野に入れると、各地の工場や取引先、サプライヤーなどをグローバル視点で連携し、ものづくり全体のパフォーマンスを把握できるソリューションの導入が求められました。
また、製品によってものづくりの工程が異なるため、それぞれの製品に最適な設備や生産ラインを開発しなければなりません。
単にラインをつくるだけでなく、生産効率を4倍にするためには、工程間の搬送作業を削減するための仕組みの構築、画像処理等による難易度の高い検査項目の自動化、作業手順をタブレットやモニターで指示するためのUI開発、精度測定結果を加工マシンにフィードバックするシステムなどが必要不可欠です。
それらの課題を解決できるMESを導入すべく、各社からご提案をいただくことにしました。
DELMIA Aprisoを採用した決め手は何だったのでしょうか。
さまざまなMES製品の機能や費用面を比較検討してDELMIA Aprisoを採用することに決めました。
その最大の理由はカスタマイズ性です。
先ほどもお伝えした通り、製品によって生産工程が異なるため、それぞれの製品に合わせた柔軟なシステム構築が求められます。
私は前職でSIerのエンジニアだった経緯があり、「自分たちでカスタマイズできる」ことを魅力に感じました。
近年は製品やパッケージの標準に業務を合わせていく「Fit to Standard」の考え方が主流になっています。
費用面を抑えられる点では魅力的ですが、今回は独自の仕組みを構築して将来的にグローバル展開する目的がありました。
こうした背景から、カスタマイズ性に優れたMESの導入が必要であり、その有力候補がDELMIA Aprisoだったのです。
また、ALSIは大手製造メーカーを親会社に持ち、ユーザーに近い目線でDELMIA Aprisoの魅力や優位性を深く理解しているため、具体的にどのような課題を抱え、どのように解決できたのかという実感を持っています。
その知見やノウハウを活かし、実装まで伴走してもらえると考えました。
DELMIA Aprisoの導入効果についてお聞かせください。
花岡工場は新設工場であり、設備の構成も生産工程も従来とは異なるため、「MESだけでどれだけ改善したか」を単純比較することはできません。
ただ、効果として確実に言えるのは、紙中心の運用から脱却し、製造実績や検査記録をシステム上で一元管理できるようになったことです。
以前は、製造指示書や検査報告書など人の手で入力して紙で運用する部分が残っていましたが、現在は設備から自動的にデータがあがり、それが上位のシステム上に連携されて、必要な情報を見たいときにすぐに確認できる環境になりました。
今後のグローバル展開に向けたモデルケースとしての一歩を踏み出せた実感があります。
ALSIとのプロジェクトで印象に残っている点を教えてください。
印象に残っているのは、最適な形にシステムをつくりあげていくALSIの提案力と技術力です。
今回のプロジェクトでは、標準機能に合わせるのではなく、業務に合わせてカスタマイズしていく方針をとりました。
私自身がある程度システムに明るかったこともあり、こちらから細かな要望を出す場面も多くありましたが、ALSIはそれを単に受けるだけではなく、当社の業務や生産工程の特性を深く理解したうえで、メーカーであるダッソー・システムズも巻き込んで、一緒に考えながら整理し、伴走してくれました。
信頼できるパートナーの存在があったからこそ、難易度の高いプロジェクトが成功したのだと実感しています。
また、私がとくにこだわったのがUIの設計です。
現場の人が使いやすい画面になるよう意識して進めました。
ALSI自身がものづくりの現場を持つ企業グループの一員であり、現場の理解を深めながら一緒にシステムをつくっていけたことが、良かった点だと思います。
マニー株式会社
所在地:栃木県宇都宮市清原工業団地8番3
手術用縫合針、眼科ナイフ、歯科用治療機器などの医療機器を開発・製造・販売する医療機器メーカー。「世界一の品質以外はつくらない」という強いこだわりのもと、ニッチ分野で高い競争力を発揮し、グローバルに事業を展開している。特筆すべきは半年に一度の「世界一か否か会議」の開催。これは、製品の要求特性ごとに競合製品との性能比較評価を行い、競合製品よりも劣っている項目があれば、その改善策について開発担当者および経営陣で協議し、その改善に経営資源を集中的に投入するというもの。こうした高品質なものづくりを強みとして、世界の医療現場を支える製品をこれからも提供し続けていく。