コラム

システム強化と整備

〜「簡単に作れる」だけではDXは成功しない〜
“スピード”と“拡張性”のバランスが、DXを左右する

DX推進の文脈で”開発の民主化”が語られる機会が増え、ローコードやノーコードへの注目はますます高まっています。
どちらも“開発を簡単にする”ことが目的ですが、両者の違いを理解しないまま導入すると、 プロジェクトが失敗するリスクがあります。

想定より機能が作れず、結局システム刷新が必要になった
ノーコードで始めたが、途中で複雑化し限界が来た
IT部門と業務部門で期待値がズレて混乱した

実際の現場では、業務のデジタル化が進む中で、どのような開発ツールを導入すべきか迷うケースが頻繁に発生しています。特にDX推進担当者や情報システム部門では、”ローコード”と”ノーコード”の違いが重要な検討ポイントになります。ノーコードはとにかく“早く作れる”のが大きな魅力ですが、業務が複雑になるほど表現できる範囲に限界が生まれます。一方でローコードは、直感的な操作に加えて必要な部分だけコードを書けるため、現場のアイデアを実務レベルの仕組みにまで落とし込むことが可能です。

つまり、スピードと柔軟性を両立できる点こそが、ツール選定を行う担当者にとってローコードの最大の強みといえます。

1. ローコードとノーコードの基本的な違い

どちらも生産性向上と開発スピードの向上を目的としていますが、対応できる業務の複雑度や拡張性に大きな違いがあります。

● ローコード(Low-code)
GUI操作を中心としつつ、必要に応じてコードを書くことで柔軟なアプリ開発を可能にする手法。

● ノーコード(No-code)
コードを書かず、ドラッグ&ドロップを中心にアプリを構築する手法。非エンジニアでも扱いやすい。

2. 特長・メリット・デメリット

それぞれの特長・メリット・デメリットを現場目線でわかりやすく整理しました。
ローコード ノーコード
特長

GUI中心だが必要に応じてコードで拡張可能

・システムとの連携・データ統合に強い

・コード記述なし

・テンプレートやプリセット機能が豊富

メリット

・中~大規模の業務にも対応

・複雑なロジックの実装や保守が可能

・アーキテクチャを整理しやすく、全社最適を実現しやすい

・アプリを短期間で作成できる

IT部門のリソース不足を補いやすい

・小規模業務の効率化に最適

デメリット

・ある程度のITリテラシーが必要

・使い方によってはエンジニアが必要という認識になる

・複雑な処理や例外ロジックに弱い

・外部システム連携に制約が出やすい

・アプリが増えると管理が煩雑になる



3. 「簡単に作れる」が落とし穴

ローコード/ノーコードは確かに“簡単に作れる”ことが最大の魅力です。
しかし、実際の現場では、この“簡単さ”が思わぬ落とし穴になるケースが多く見られます。理由は大きく3つあります。


落とし穴1: 最初はシンプルに見えるが、業務は必ず複雑化する

担当者が描く業務フローは、多くの場合「理想的な基本パターン」に留まりがちです。
しかし実際の運用では、例外処理や承認ルートの分岐、システム間のデータ連携など、想定外の複雑さがあとから必ず現れてきます。

当初:申請 → 承認 → 完了
実際:申請内容によって承認者が変わる/差し戻し/再申請/条件分岐/外部システム連携…

こうした「想定外の詳細要件」にノーコードが耐えられず、途中で限界が来るケースは非常に多いのです。


落とし穴2: “作ること”に意識が向きすぎ、運用・保守が軽視される

ノーコードは特に、業務担当者でも短期間でアプリを作れます。
しかし、「作ったあと」こそ本番 であり、ここが十分に考慮されないことが失敗の原因になります。

  • 作った本人以外が仕様を理解できない
  • 小さな変更を繰り返し、アプリがブラックボックス化
  • 不具合が出てもIT部門では原因が追えない
  • 気づけば似たようなアプリが増殖する「野良アプリ問題」


このように、「簡単に作れるから大丈夫」という認識で始めてしまうと、運用フェーズで大きなコストが発生するリスクがあります。


落とし穴3: ツールの限界が後から明らかになる

ノーコードや一部のローコード製品では、機能が豊富なように見えても、その裏には必ず制約があります。

  • 外部API連携ができない/種類が限られる
  • データ管理が複雑になる
  • 大規模なユーザー数に対応できない
  • 権限設定が細かくできない
  • 高度なロジックを表現しにくい

最初に気づかないのは、小さく作る段階では不満が出ない からです。しかし業務部門は、便利になるほど「もっとできない?」と期待が膨らみ、ツールとのギャップが一気に表面化します。

つまり、「今できればいい」だけで選ぶのは大変危険なのです。最初は小さな業務改善でも、成功すれば横展開や高度化のニーズが必ず出てきます。
その変化にどこまで対応できるかが、ツール選択の分岐点になります。

 ➡ 「簡単だからこそ、慎重さが必要」
 ➡ ローコード/ノーコードの選択は運用・拡張まで見据えて判断すべき


4. 正しい使い分けでDXは加速する

では現実的にどう使い分けるのがいいのか次のようにまとめました。

  • ローコードが向いているケース
    ・外部システム連携が必須
    ・例外処理が多い
    ・中〜大規模アプリを見据えている
    ・自社全体のプラットフォームとして統合したい

  • ノーコードが向いているケース
    ・申請・報告などのシンプルな業務フロー
    ・部署レベルの業務効率化
    ・MVP(最小実用プロダクト)の素早い検証
    ・IT部門を介さず、まず業務部門で動きたい

5. まとめ

ローコードとノーコードはどちらも「開発を簡単にする」という同じ目的を持っています。しかし、違いを理解せずにスタートすると、思わぬところで壁にぶつかり、手戻りや混乱を招く可能性があります。

  • ローコード:拡張性と柔軟性
  • ノーコード:スピードと手軽さ


両者の特性を踏まえ、業務の性質や将来的な拡張を見据えて選択することが、DXを成功に導く鍵となります。

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