グループ企業の経費精算に潜む「隠れコスト」とは?
個別契約・バラバラな運用を見直すポイント
グループ企業では、会社ごとに業務内容や社内規程、承認フローが異なるため、それぞれの会社が実情に合った経費精算システムを導入していることがあります。
各社が個別にシステムを選ぶ方法には、既存の業務を大きく変えずに導入しやすいという利点があります。一方、グループ全体で見ると、会社ごとに契約・管理・運用が発生し、システム利用料以外にもさまざまなコストが積み重なっている可能性があります。
・子会社ごとに異なる経費精算システムを契約している
・グループ全体でどの程度のシステムコストが発生しているか把握できていない
・契約更新や請求処理を会社ごとに行っている
・法改正のたびに、複数のシステムについて対応状況を確認している
・各社で操作方法や入力ルールが異なり、教育や問い合わせ対応に時間がかかっている
・システム統一を検討したものの、会社ごとのルールの違いから見送っている
こうした状況を放置すると、システムの利用料だけでなく、契約管理、法改正への対応、教育、集計作業などに関する「隠れコスト」が増えていく可能性があります。
本記事では、グループ企業の経費精算で発生しやすい隠れコストについて、代表的な3つの観点からご紹介します。
見落としがちな「経費精算の隠れコスト」
経費精算システムのコストを確認するときは、月額利用料や初期費用に目が向きがちです。
しかし、グループ各社が個別にシステムを契約・運用している場合、利用料以外にも管理や教育などに関する工数が発生します。これらは金額として把握しにくいため、グループ全体のコストとして認識されていないこともあります。
1. 会社ごとの個別契約によるコスト
グループ会社がそれぞれ経費精算システムを契約している場合、会社単位では適切なプランを選んでいても、グループ全体では割高になっている可能性があります。
特に従業員数が少ない子会社では、契約するユーザー数が少ないため、1ユーザーあたりの利用料が高くなるケースも考えられます。
また、個別契約では、システム利用料のほかにも次のような業務が会社ごとに発生します。
・ 契約・更新手続き
・ 請求書の確認・処理
・ システムベンダーとの連絡
・ ライセンスや利用状況の管理
・ 問い合わせや障害発生時の対応
一つひとつの作業は大きな負担ではなくても、グループ会社の数が増えるほど、同じような管理業務が重複していきます。
さらに、契約更新時期や料金プランが会社ごとに異なる場合、親会社がグループ全体の契約状況を把握することも難しくなります。
2. 法改正への対応に伴うコスト
電子帳簿保存法やインボイス制度など、経理業務に関連する制度が変更された場合、利用中のシステムが新しい要件に対応しているかを確認する必要があります。
グループ各社が異なるシステムを利用していると、システムごとに対応状況や必要な作業を確認しなければなりません。
場合によっては、次のような対応が必要になります。
・ システムの対応状況の確認
・ 設定の変更や追加改修
・ アップデート後の動作確認
・ 運用マニュアルの修正
・ 利用者への周知や教育
親会社では対応が完了していても、一部の子会社では紙やExcelを中心とした運用が残っているなど、グループ内で対応状況に差が生じることもあります。
その結果、制度への対応状況をグループ全体で確認する作業や、会社ごとに異なる運用をフォローする負担が発生します。
3. バラバラな運用による教育・集計コスト
会社ごとに異なる経費精算システムを利用している場合、操作画面や申請方法、承認フロー、データの出力形式も異なります。
複数社の経理業務を親会社やシェアードサービス部門が担当している場合、それぞれの会社の操作方法やルールを把握し、個別に対応しなければなりません。
例えば、次のような負担が考えられます。
・ システムごとのマニュアル作成
・ 新任担当者や利用者への個別教育
・ 会社ごとに異なる問い合わせへの対応
・ 出力形式が異なるデータの集計・加工
・ 特定担当者だけが操作方法や設定を理解している状態
担当者の異動や退職が発生した場合、引き継ぎに時間がかかるだけでなく、これまでの運用方法が分からなくなる可能性もあります。
このような教育・集計・引き継ぎに要する時間も、グループ企業の経費精算に潜むコストの一つです。
なぜグループ会社の経費精算をまとめるのは難しいのか
こうした課題があっても、グループ会社の経費精算システムを統一することは簡単ではありません。
グループ会社ごとに、次のような違いがあるためです。
・ 勘定科目や税区分
・ 経費規程
・ 申請・承認フロー
・ 利用している会計システム
・ 組織構成や権限
・ 業務の進め方
親会社の運用をそのまま各社へ適用すると、子会社の実務に合わず、現場の負担が増える可能性があります。
一方、各社の個別運用をそのまま続けると、契約・管理・教育・集計に関する重複を解消できません。
グループ企業の経費精算を見直す際には、単に同じシステムを導入するだけではなく、グループ全体で共通化する部分と、会社ごとに残す部分を整理することが重要です。
まずはグループ全体の状況を把握することが重要
経費精算に関する隠れコストを見直すには、まずグループ各社の現状を整理する必要があります。
例えば、以下の項目を確認することで、重複しているコストや業務負担を把握しやすくなります。
・ 各社が利用しているシステムと契約状況
・ 利用料や保守費用などの直接コスト
・ 契約管理、法改正対応、教育などにかかる工数
・ 各社の申請・承認フローや会計システムとの連携状況 など
現状を可視化することで、個別契約を続けるべき会社と、グループで共通化できる会社を検討するための材料になります。
ただし、グループ各社の契約や業務をどのように整理し、どこから共通化を進めるべきかについては、会社数や現在のシステム構成によって異なります。具体的な整理の考え方は、以下の資料で詳しく解説しています。
グループ全体の経費精算を見直すためには
グループ企業の経費精算を見直す際は、単に利用料だけを比較するのではなく、契約管理、法改正対応、教育、データ集計などを含めた全体の負担を確認することが重要です。
また、システムを共通化する場合でも、各社の業務ルールをどこまで統一し、どこを個別に残すかを慎重に検討する必要があります。
まとめ
グループ会社ごとの個別契約・個別運用は、各社の業務に合わせやすい一方で、隠れたコストを生み出す可能性があります。
隠れたコストは、システムの請求書だけでは把握しにくいため、グループ全体の経費精算業務を整理し、契約・運用・管理を含めて確認することが重要です。
本記事では代表的な課題と見直しの論点をご紹介しましたが、実際にどのような方法で契約やシステムを整理すべきかについては、グループの構成や各社の運用によって異なります。
以下の資料では、個別契約からグループ一括契約へ移行する考え方や、クラウド移行による法改正対応、各社の独自ルールを維持しながらシステム基盤を共通化する方法を解説しています。さらに、具体的な解決方法と、グループ企業での解決事例もご紹介しています。
グループ企業の経費精算を見直したい方は、ぜひご覧ください。