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【オンラインカジノにおける法改正が可決】~法改正ポイントと組織で必要なオンラインカジノ対策法とは〜

■目次

Chapter 1 オンラインカジノが違法でも国内で利用される背景
Chapter 2 オンラインカジノにおけるリスク
Chapter 3 「ギャンブル等依存症対策基本法」法改正のポイントと残る課題
Chapter 4 社員・生徒を守るため組織でできる有効な対策法

オンラインカジノが違法でも国内で利用される背景

交流サイトを通じて海外オンラインカジノで賭博した会社員の逮捕や、飲食店従業員がスマートフォンからバカラ賭博を行った疑いによる逮捕などの報道が近年相次いでされています。

以下の図の通り、日本では、海外で合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪です。

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オンラインカジノで賭けをすることは違法ですが、警察庁のオンラインカジノに関する実態調査によると、国内の利用経験者は推計で約337万人にのぼっています。

調査対象(27,145)のうち、年齢別では、オンラインカジノサイトへのアクセス経験者は1,252人(全体の約7.6%)で、その中で賭博経験者の割合は、20代が最多の31%、次いで30代が27%でした。この結果から、学生や組織の従業員が利用している可能性も高く、組織としての対応も重要となっています。

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出典:警察庁「オンラインカジノの実態把握のための調査研究の業務委託報告書

◆違法にもかかわらずオンラインカジノを利用してしまう背景

違法にもかかわらず、オンラインカジノを利用してしまう背景としては、大きく2点が考えられます。

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1)違法性を感じづらい

警察庁の調査によると、オンラインカジノの利用経験者の約4割が「違法とは知らなかった」と回答しており、違法とは知らずに利用しているケースが多いことが問題となっています。

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違法性を感じにくい要因のひとつに、広告や「おすすめオンラインカジノ紹介サイト」などの存在があります。

過去にはテレビなどで無料版オンラインカジノのCMが放映されていたこともあり、視聴者にとってオンラインカジノは合法であると誤解されてしまいやすい状況がありました。実際、無料版は違法ではなく、かつ違法の有料版に誘導がないことから放映できていたとされていますが、こうした広告をきっかけにオンラインカジノに興味を持ち、違法とは知らないまま最終的に有料のオンラインカジノにも手を染めてしまうケースも少なくありません。

警察庁「オンラインカジノの実態把握のための調査研究の業務委託報告書」によると、オンラインカジノを知ったきっかけとして、テレビが最多(64.5%)であることが報告されており、広告の影響の大きさが伺えます。

2)手軽に利用できる

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オンラインカジノは、PC・スマートフォン・タブレットなどを使って、場所や時間を問わず24時間365日アクセス可能であるため、生徒や社員にとって非常に手軽に利用できる環境が整っています。実際にカジノへ足を運ぶ必要がないことから、アクセスのしやすさが依存のリスクを高める要因の一つと考えられます。

また、支払いのハードルも低いことも想定されます。Web上には、「プリペイドカードやキャッシュレス決済対応のおすすめカジノサイトを紹介」「本人確認不要・アカウント登録不要」などといった日本語のオンラインカジノ紹介サイトも存在していました。キャッシュレス決済も利用できる場合、手軽に支払いもできることが想定されます。本人確認不要なものは、年齢に関係なく簡単に利用できてしまうと想定されます。

オンラインカジノにおけるリスク

オンラインカジノは、オンライン上で賭博を行うことから24時間アクセス可能です。いつでも利用できることから没入しやすく、依存する危険性が高いです。また携帯電話やPCなど端末があれば利用できることから、未成年者の利用も容易となっています。

◆利用者におけるリスク

オンラインカジノ利用におけるリスクとしては以下が挙げられます。

・借金トラブルを発生させるリスク
・メンタルヘルス、人間関係の悪化による職務・学業への影響リスク
・その他の犯罪に手を染めるリスク

違法性を感じにくいことや、手軽に利用できてしまうことから、児童・生徒を含め年齢に関係なく利用する可能性があります。また、依存性が高い点も懸念されます。

公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会の調査結果によると、オンラインカジノを始めてから借金に至るまでの期間は、「1週間以内」が30.1%、「1か月以内」が33.3%と、短期間で借金に陥るケースが多いことが示されています。さらに、同法人の調査では、オンラインカジノへの依存が原因でその他の犯罪行為に及んだ人の割合が3割を超えていることも明らかになっています。

これらの結果から、借金トラブルによる職務への影響、メンタルヘルスの悪化、さらには借金返済のためにその他の犯罪に手を染めるリスクなどが懸念されます。

出典:公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会
20250307_オンラインカジノ経験者アンケート_プレスリリース-1.pdf
1217闇バイトとギャンブル依存症問題_提言追記版.pdf

◆組織におけるリスク

オンラインカジノの利用は、個人だけでなく組織全体にも大きなリスクをもたらします。

最近では、社員・生徒によるオンラインカジノ利用に関する違法行為が報道されるケースも増えており、こうした報道がきっかけで企業や学校などの信頼が損なわれ、組織のイメージに悪影響を及ぼすリスクがあります。

さらに、社員や生徒が組織の端末やネットワークを通じてオンラインカジノにアクセスしていた場合、企業や学校・教育委員会などの組織の管理責任が問われるおそれもあります。こうした事態を未然に防ぐためにも、組織として対策を行うことは重要であると考えられます。

オンラインカジノを違法であるにもかかわらず利用してしまう要因である「違法性を感じづらい」、「手軽に利用できる」を解消するために、国としても取り組みが進められており、20256月に「ギャンブル等依存症対策基本法」の法改正がされました。

「ギャンブル等依存症対策基本法」法改正のポイントと残る課題

「オンラインカジノ」の依存症を対策するために、「オンラインカジノ」規制強化に向けた「ギャンブル等依存症対策基本法」の改正案が出され、2025618日の参院本会議で与野党の賛成多数で可決し、成立しました。

参考:「衆法 第217回国会 37 ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案」https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g21705037.htm 

◆「ギャンブル等依存症対策基本法」改正ポイント

今回の改正されたポイントとしては2つあります。

1.誘導なども違法行為であることが明確化された(第九条の二)

オンラインカジノの開設や運営、賭博利用は以前から違法でしたが、改正法では、違法オンラインギャンブル等ウェブサイトを提示する行為等が禁止であるとして、SNSYouTube、ブログなどでの紹介・誘導行為も違法であることが新たに明記されました。

誘導行為としては、例えば、オンラインカジノに関連する「おすすめオンラインカジノ」などのSNSやブログなどの投稿も対象となります。

2.違法性の周知義務の強化がされた(第十四条)

今回14条に「国および地方公共団体は、オンラインカジノにより賭博を行うことが違法である旨について、広く国民に周知するよう努めなければならない」と明記され、国や自治体は、違法性を広く周知する義務ができました。

周知義務の強化がされたことで、オンラインカジノで賭博を行うことが違法と知らなかったといった理由でオンラインカジノを利用してしまうリスクを低減できることが期待されます。

◆法改正後も残る課題

一方で、SNSYouTubeなどでのオンラインカジノサイトの紹介・誘導行為も違法と新たに明記されたものの、この部分に関しての罰則はありません。
法改正により、オンラインカジノの広告や紹介サイトの通報があると、削除されやすい環境が整備され、SNS上での誘導投稿の減少やブロッキングの促進が期待されますが、罰則はないため通報がない限り紹介サイトは残ることも想定されます。

そこで、企業や学校としても、社員や児童・生徒がオンラインカジノ利用に関連する犯罪に巻き込まれないために、責任を持ち組織でも対応する必要があると考えられます。

社員や児童・生徒を守るため組織でできる有効な対策法

組織内でできる対策としては、以下の対策があげられます。

・組織で管理する端末からのオンラインカジノサイトへのアクセスを制限
・オンラインカジノサイトへのアクセス状況の把握
・オンラインカジノ利用による賭博は犯罪であることの周知

【対応案】

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これらの対策を実現する方法としては、安全なWeb利用を実現するために、Webアクセスを管理することができる「Webフィルタリング」が組織でできる最も効果的な対策です。Webフィルタリングとは、インターネットのアクセス先を管理・制限することで、安全なWeb利用を実現する仕組みです。特にオンラインカジノのような不適切なサイトへのアクセスを防ぐためには、非常に有効な手段です。

ALSIでは、クラウド型Webフィルタリングの「InterSafe GatewayConnection(ISGC)」を提供しています。

オンラインカジノ対策をはじめ、組織内の安全なWeb利用環境を整えることが可能で、学校や企業など、幅広い組織で活用できる柔軟なソリューションです。

これまで「オンラインカジノ」は独立したカテゴリではなく、「ギャンブル」などのカテゴリにドメインやURLの情報が集約・分類されることが一般的でした。ISGCでも同様な分類でしたが、昨今の市場変化にあわせて、オンラインカジノのWebアクセス状況の把握や規制ができるよう、「オンラインカジノ」カテゴリを新たに増設しています。

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「オンラインカジノ」カテゴリの増設により、「オンラインカジノ」というカテゴリ単位でアクセスを規制できるようになりました。「オンラインカジノ」にカテゴライズされるWebサイトへのアクセスを試みた場合、「オンラインカジノは犯罪です」と注意喚起するような警告画面の表示を行い、違法であることの認識に繋げます。

さらに、アクセスを試みた際はアラートメールで管理者へ通知できます。またログ分析ツールのInterSafe LogNavigatorを利用することで、「オンラインカジノ」カテゴリへのアクセス状況を可視化できます。

最後に

近年検挙数が増加しているオンラインカジノの利用は国においても注目されています。

オンラインカジノは違法であることが認識しにくい点、手軽に利用できる点から今後利用が増加するリスクがあり、学校や会社は責任をもって対策を進める必要があることが推測されます。オンラインカジノ利用への最も有効な対策がWebフィルタリングです。ALSIが提供するクラウド型WebフィルタリングのInterSafe GatewayConnection(ISGC)は、オンラインカジノカテゴリの増設により対策を強化することができます。

ご質問や導入に関しての相談、資料請求など、お気軽にお問い合わせください。

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