ALSI (アルシー)

アルシー セキュリティブログ

早期発見・対応により増え続けるいじめを防ぎ、 子どもたちの学校生活を守るために

IT のチカラを活用し、いじめを防ぐサービスを立ち上げたい

ーいじめ問題に取り組むことになったいきさつを教えてください。

くま氏:私がかつて IT 企業に務めていた際、働くお母さんに向けたネットメディアの立ち上げなどに関わっていたのですが、多くのお母さんが自分の子どもの人間関係やいじめに悩んでいることを知り、IT のチカラでなんとか解決できないかと考えるようになったのが、そもそものきっかけです。

ーどのような経緯でマモルを設立することになったのですか。

くま氏:米国の IT 業界の動向にアンテナを張っていたところ、2015年ごろからいじめなどのトラブルを通報するツールが普及してきたことを知り、こうしたサービスが日本でも提供できないかと考えたのです。ツールの開発であれば、これまで IT 業界で培ってきた自分のキャリアや、Web マーケティングのノウハウなどを活かせると判断し、2018年7月に株式会社マモルを設立しました。

ーマモルではどのような事業を行っているのでしょうか。

くま氏:メインは、いじめ防止相談ツール「マモレポ」の提供です。それ以外にも教育コンテンツの開発や、学校の業務改善につながるデジタルトランスフォーメーション事業などに取り組んでいます。また、個人的には学校・教員向けの研修や執筆活動にも力を入れています。


ー国内におけるいじめの現状はどうなっているのでしょうか。

くま氏:2023年10月に公開された「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等の生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省 初等中等教育局児童生徒課)によると、いじめの認知件数は、新型コロナウイルスが感染拡大した2020年に一時的に減少したものの、基本的にはずっと増え続けています。不登校も同様です。

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いじめを受けた子どもが気軽に報告・相談できる仕組みを

ー前述の米国のツールには、どのような印象をお持ちでしたか。

くま氏:IT のチカラでいじめを防ぐという発想には感心しました。ただ、そのツールの仕組みはいじめの証拠写真を撮って通報するというもので、日本の現状にはそぐわないと感じました。一般に米国のいじめは、個人や少数グループが暴力を振るったり、言葉で攻撃したりするものが多いと言われていますが、日本のいじめは集団で特定の子どもを無視するといったケースが多いです。
この点では日本独自の仕組みが必要だと思いました。また、自分たちで一から開発すれば、きめ細かいニーズにも応えていけるだろうとも考えました。

ー「マモレポ」の仕組みについて教えてください。

くま氏:マモレポは、学校生活におけるさまざまな悩みを、子どもが先生などに相談・報告できるプラットフォームです。低学年の子どもたちでも簡単に使えるよう工夫されており、アイコンをクリックするだけで学校に相談・報告できます。
その内容は学校に届けられ、先生から直接声をかけたりして解決方法を探っていきます。名前を出して相談しにくいという子どもは匿名で相談・報告することも可能ですし、教育委員会(学校以外の大人)とマモレポ上でメッセージのやり取りをしながら解決策を考えていくこともできます。また、学校での友人関係についての読み物も掲載されるなど、トラブルが生じたときのヒントも提供されます。

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ー近年はネット上でのいじめが増えているとのことですが。

くま氏:確かに、SNS などでのいじめが増えており、先生たちからは見えにくくなっているという指摘はあります。しかし、ネット上でいじめが起きているときには、学校でのリアルないじめも同時に進んでいる場合がほとんどです。つまり、ネットのいじめとリアルないじめは地続きなのです。

ー学校生活でのリアルないじめを防げば、ネット上でのいじめも防げるということでしょうか。

くま氏:いじめは徐々にエスカレートしていく傾向があります。特に小学生の場合は、加害者側にいじめているつもりがなく、ちょっとした勘違いやすれ違いがいじめになっていくケースが少なくありません。ですから、いじめの芽を早い段階で摘み取ることができれば、リアルないじめはもちろん、ネットでのいじめも防げるはずです。

ーマモレポにはどのような特色があるのでしょうか。

くま氏:ネットでやり取りできることが最大のポイントです。子ども向けに電話相談の窓口を設けている自治体もありますが、最近の子どもたちは電話による相談に慣れていません。むしろ普段は SNS でやり取りすることが多いので、ネットの方が気軽に相談できると思います。また、先生に直接伝えるのが苦手という子どももいますから、せっかく相談の機会を設けても、詳しく聞こうとすると口ごもってしまうということもあるようです。マモレポなら、そういった子どもであっても、気楽に本音を伝えることができます。

ーマモレポは、他のいじめ防止相談ツールと何が違うのですか。

くま氏:マモレポ以外にもいじめ防止相談ツールはありますが、その多くが学校以外の第三者に相談するもので、学校に直接相談できるマモレポとの大きな違いになっています。第三者への相談はどうしても遠回りになってしまい、対応に時間がかかってしまう難点があります。その点、マモレポは学校に直接相談できるため迅速な対応が可能です。先ほどもお話ししたように、いじめは早期の解決が重要ですから、その意味では特に効果的なツールだと思います。

ー相談や報告を受けた学校は、どういった対応を取ることになるのでしょう。

くま氏:各学校にマモレポ担当を数名決めていただきます。多くは教頭先生やいじめ担当の先生になるのですが、その方々が相談の内容をまず確認します。それから、担任の先生などと情報を共有して話し合い、どのように対応すべきかを決めます。なお、子どもからの報告や相談の内容は、教育委員会でも共有できる仕組みになっています。

ーマモレポはどのように活用されているのでしょうか。

くま氏:既に複数の自治体で導入されており、実際に子どもたちが利用しています。相談内容は様々ですが、子どもが SOSを出せる環境を作ってあげることが大切です。対応する教育委員会や学校の負担をできるだけ少なくできるよう、話し合いを重ねてシステムを改良したいと思っています。実際の活用事例については個別にお問い合わせください。

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ALSI との協業により、子どもたちへのケアをより充実させたい

ーALSI と協業することになったきっかけを教えてください。

くま氏:当社の規模はまだ小さいため、お客様からのお問い合わせへ十分対応できないことが悩みでした。とはいえ、一気に会社の規模を大きくすることも難しいため、協業先となる企業を探すことにしたのです。複数の候補を検討したところ、ALSI は事業内容がマッチしていたことに加え、ALSI の方々となら子どもたちのためになるサービスを一緒に作っていけると思えたことから、協業をお願いすることにしました。

ーALSIとの協業によって、マモレポやマモルはどのように変わっていくのでしょうか。

くま氏:現在はお互いのサービスを組み合わせた使い方をお客様に提案している段階ですが、今後はマモレポの機能の強化・拡張に協力してもらったり、新しいサービスを一緒に作っていったりしたいですね。まず考えられるのが、ALSI の Webアクセスログ分析ツール「InterSafe LogNavigator」との連携強化です。子どもたちが置かれている状況によって、どんなサイトへのアクセスが増えるのか...などの傾向がわかれば、先生たちもいじめの兆候に気づきやすくなるでしょう。とにかく、一人ひとりの子どもをいろいろな角度から見ていくことが大事ですから、学校での様子だけでなく、ネット上から得られるさまざまなデータを組み合わせていくことで、子どもたちをケアしやすくなると思います。

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いじめ防止・相談ツール「マモレポ」の詳細はこちら
クラウド型Webフィルタリング「InterSafe GatewayConnection」の詳細はこちら
Webアクセスログ分析ツール「InterSafe LogNavigator」の詳細はこちら

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