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【NEXT GIGAとは?】GIGAスクール構想における課題と対応策について解説

NEXT GIGAについて

NEXT GIGA」とは、2019年から文部科学省が推進してきたGIGAスクール構想の第2フェーズを表すものです。「GIGA2期」や「アフターGIGAスクール」などとも呼ばれています。

~GIGAスクール構想とは~

GIGAとは、「Global and Innovation Gateway for All」の略称です。これまでの教育とICTを組み合わせ、児童・生徒の学習活動をより充実させ、すべての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学びを実現させるための施策として文部科学省により立てられました。

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出典:文部科学省「GIGAスクール構想の実現へ」
https://www.mext.go.jp/content/20200625-mxt_syoto01-000003278_1.pdf

NEXT GIGAの目的

NEXT GIGAの目的は、GIGAスクール構想における課題を解消し、ICT環境の更新や学習方法のアップデートを通じて、GIGAスクール構想をさらに発展させることです。

ここからは、GIGAスクール構想における課題と、NEXT GIGAで求められている事項について考えていきます。

GIGAスクール構想の課題

GIGAスクール構想では、子どもたちへ11台端末(※)の配布、全国の公立学校への高速大容量の通信ネットワークの整備を進めてきました。

本構想からおよそ5年が経ち、ほぼすべての自治体に1人1台端末の整備が完了しています。

(※端末例:学習者用コンピュータ、ノートパソコン、タブレットPC等)

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出典:文部科学省初等中等教育局 修学支援・教材課 「義務教育段階における11台端末の整備状況(令和4年度末時点)」
https://www.mext.go.jp/content/20230711-mxt_shuukyo01-000009827_01.pdf

一方で、11台端末の利活用が進むにつれ、以下をはじめとした課題も出てきています。

・自治体間での端末利活用における格差

・先生のICT活用スキルの格差

・研修体制の不足

ICT支援人材の不足

・端末の故障の増加・バッテリーの劣化

・不安定なネットワーク環境 など

NEXT GIGAではGIGAスクール構想の実現を促進するために、これらの課題の解消が求められています。

NEXT GIGAで求められていること

①自治体間の端末利活用における格差の解消

自治体・学校間における格差として、「自治体間での1人1台端末の利活用における格差」「先生のICTスキルにおける格差」などがあります。

・自治体間での1人1台端末の利活用における格差

国立教育政策研究所の「令和4年度全国学力・学習状況調査の結果」によると、授業で11台端末を週1回以上使用している割合が小学生で約83%、中学生で約81%といずれも8割を超えています。

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一方で、月1回以上の割合が小学生で約11%、中学生が約14%であり、またさらに月1回未満が小・中学生どちらも約5%残っていることから、自治体および学校間での端末利活用における格差があることが分かります。

出典:国立教育政策研究所「令和4年度全国学力・学習状況調査の結果」https://www.nier.go.jp/22chousakekkahoukoku/22summary.pdf

※追記(2025/4/4

令和5年度版の調査によると、週1回以上端末を利用している割合は、小学校で99.0%、中学校で97.4%と高い数値を示しています。しかし、文科省が推進している「週3回以上」の利用頻度で見ると、小学校は90.6%、中学校は86.5%であり、小学校では10%程度、中学校では14%程度が文科省の推奨基準に達していない現状が明らかになっています。

・先生のICTスキルにおける格差

文部科学省「令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によると、「授業にICTを活用して指導する能力」の全体平均は75.3%となっています。しかし、最高値の愛媛県が96.7%であるのに対し、最低値の島根県では69.1%と、27.6ポイントの差が生じており、地域によってICT活用能力に差があることが分かります。

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出典:文部科学省「令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査」

※追記(2025/4/4

令和5年度版の調査結果では、「授業にICTを活用して指導する能力」の全国平均は80.4%でした。最高値は愛媛県の98.3%、最低値は島根県の73.7%で、その差は24.6ポイントに及びます。これにより、ICT活用能力が全体的に向上している一方で、地域間の差が依然として存在することがわかります。

このことから、地域によってICTスキル不足や利活用において差があることが見えてきます。

この格差の要因としては、校内や教室内でネットワークに接続しづらいことなど、ネットワークの遅延や不具合が大きく影響しているといわれています。

ICTスキル不足における格差の要因の中の一つとして、先生の業務過多が考えられます。

文部科学省の調査によると、令和5年度10月・11月で実施した教師の1日の在校時間は10時間前後であることが分かっています。平成28年度と比較して在校等時間は減少しているものの、依然として長時間勤務の教師が多いことが課題となっています。そのことから、ICTスキル向上のための学習時間を確保するのはさらに難しいと考えられます。

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出典:文部科学省 「教員勤務実態調査(令和4年度)の 集計(速報値)について
   教員勤務実態調査(令和4年度)【速報値】について(概要) (mext.go.jp)

加えて、校務のペーパーレス化も進んでいる中、紙ベースの業務もまだ残っている現状があります。

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出典:文部科学省「GIGAスクール構想下での校務DXについて

さらに、研修体制の不足もNEXT GIGAの課題としてあり、先生のICTにおけるスキルアップの機会を作るのが難しいことも想定されます。

全ての学校が端末活用において、「試行錯誤」の段階から「日常化」に移行し、充実した子どもたちの学びを実現するためには、自治体や学校間でのICT活用や教育における格差の解消が求められています。

→文科省による対策:ネットワークアセスメント実施の促進

端末利活用における格差の要因の一つとして、ネットワークの遅延や不具合が考えられることから、文部科学省は、「ネットワークアセスメント実施促進事業」を立ち上げ、全国的にネットワーク診断(アセスメント)を行い、現状と課題の把握を推進しています。また、ネットワークにおける課題を把握し、早急に改善を図ることが重要であるとして、予算を立て、ネットワークアセスメント実施に要する費用の一部(2分の1)を令和6年度に補助することとされています。(※補助上限400千円/)

先生のICTスキル不足における地域格差については、文部科学省が「GIGAスクール運営支援センター」を設置し、端末活用の日常化を支える支援基盤構築を行うこととしています。支援人材の確保や教師・事務職員・支援人材のICT研修などを補助するため、令和6年度の概算要求が出されています。

②端末故障・バッテリー劣化への対応

授業時や持ち帰り学習時における端末の故障が増加しており、45年程度のバッテリーの耐用年数が迫っている現状があります。自治体によっては、令和6年度に端末更新が必要な学校もあります。

→文科省による対策:補助金を活用した故障端末の更新や予備機の整備

文部科学省では、令和56年を集中推進期間と位置づけ、34年程度をかけた計画的な端末更新と、端末故障時等に子どもたちの学びを止めないための予備機の整備を進めることとして概算要求が出されています。

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参考までに、NEXT GIGAに向けた補助金の概要を以下にご紹介します。

●NEXT GIGA補助金について

①実施者

都道府県又は市町村

②対象

公立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校前期課程、特別支援学校小学部及び中学部

③対象経費

学習者用コンピュータの整備又は更新に要する経費(情報機器の運搬費、情報機器の設置・据え付け費を含む。)

④補助基準額・補助率

補助基準額 1台当たり55,000

補助率 国:2/3、実施者:1/3

(予備機の台数:児童生徒数の15%が上限)

⑤補助金要件

1)共同調達会議への参加(都道府県及び市町村)

2)都道府県及び市町村での共同調達(別に定める場合はこの限りではない)

3)補助対象となる端末は、定める端末の最低スペック基準を満たすこと

4)教員数分の指導者用端末の整備

5)児童・生徒が利用する端末を対象としたWebフィルタリング機能の整備

6)端末の日常的な利活用に係る計画等の策定と公表

参照:文部科学省 公立学校情報機器整備事業費補助金交付要綱等に関連する文書の一部改正について(通知)
   https://www.mext.go.jp/content/20240417-mxt_jogai02-000033777_03.pdf.pdf

Webフィルタリングの導入が補助金要件の1つ

文部科学省で、端末更新と予備機の整備における概算要求が出されていることをご紹介しました。

NEXT GIGAの補助金において、補助金要件5)の「 児童生徒が利用する端末を対象としたWebフィルタリング機能の整備」と記載のある通り、端末更新における補助金の対象要件としてWebフィルタリングの導入が必要となっています。(Webフィルタリングは、補助金の対象要件ですが補助対象外となっています。)

端末の更新に関しては、基本的に都道府県および市町村での共同調達となっていますが、Webフィルタリングに関しては、共同調達あるいは個別(各自治体ごとなど)での調達でも問題ないことが示されています。

ここからは、児童・生徒がより安心して端末を利用するためのWebフィルタリングについてご紹介します。

安全な学習環境を実現するALSIのWebフィルタリング

無償と有償における指定はありませんが、以下をはじめとする事項が実施できる有償版のWebフィルタリングが生徒の学習効率化などにもつながるため、より効果的であると考えられます。

・特定の時間はインターネット利用を制限させる

・特定のYouTubeチャンネルのみ閲覧許可させる

・書き込み規制

・書き込みキーワード規制

・ログで可視化した上でのアクセス管理や分析など

さらに「学習者用コンピュータ最低スペック基準」として、端末の稼働状況を把握できる機能が求められており、整備方法例にもWebフィルタリングの機能を利用したインターネットトラヒックの有無の可視化も明記されています。Webアクセスのログ管理を行うこともWebフィルタリング機能において、求められていることの一つであることが分かります。

参照:文部科学省 公立学校情報機器整備事業費補助金交付要綱等に関連する文書の一部改正について(通知)https://www.mext.go.jp/content/20240417-mxt_jogai02-000033777_03.pdf.pdf

ALSIでは、Webフィルタリングによって校内授業と家庭学習の安全なインターネット利用を実現するクラウド型Webフィルタリングの「InterSafe GatewayConnection」をご提供しています。

授業時間に合わせたWebアクセス有無のスケジュール管理や、授業で利用するYouTubeチャンネルのみ閲覧許可させるなど、柔軟な設定で子供たちの学びを止めない安全なインターネットアクセス実現を手助けします。

また、無償のログ分析ツール「InterSafe LogNavigator」と連携することで、生徒のアクセスログをグラフィカルに確認できます。

Microsoft 365を使った先生のICT活用

先生のICTスキル不足格差を解消するために、先程ご紹介した文部科学省の取り組みに加えて、副次的に業務効率化にも繋がるMicrosoft 365を使った先生のICT活用法を一部ご紹介します。

学校現場では、毎朝の職員朝礼、職員会議や電話当番など、業務量が多く忙しいことが想定されます。加えて、紙ベースでの業務も残っている場合があります。「Microsoft 365」では、電話当番や会議などを削減・自動化することで、生徒とのコミュニケーションの時間を確保し、効率的により意味のある業務に集中しやすくします。

例えば、Microsoft FormsMicrosoft TeamsMicrosoft PowerAutomateを使ってオンライン上で簡単なアンケートフォームを作成し、先生への結果の自動通知を行うことができます。

先生はTeamsの通知を確認するだけで済み、従来の電話当番の削減や、紙ベースで週報を提出していた場合もデジタル化によって工数を削減することができます。これにより、先生の授業準備や研修への参加など、必要な業務により多くの時間を充てられるメリットがあります。

詳しい内容については、セミナーで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

また、ALSIでは、Microsoft 365関連サービスの「Swindy」をご提供しています。30年間以上にわたりIT業界に携わってきたALSIは、長年磨いてきた知見、ノウハウ、豊富な経験により培った技術力でMicrosoft 365サービスの導入、活用、運用、サポートまでを一貫して提供しています。Microsoft 365サービスの導入・活用等、ご興味がございましたらぜひお問い合わせください。

まとめ

NEXT GIGAに向けて教育現場における端末利活用の観点で、課題と解決する文部科学省の取り組みをご紹介いたしました。また、ALSIの考えるWebフィルタリングの選定ポイント・Microsoft 365を使った端末の活用法を一部ご紹介しました。これらに関連する製品・サービスはALSIでご提案が可能です。

本記事ではご紹介しておりませんが、いじめ対策に関連したサービスもご提供しています。

セキュリティ対策についてお悩みの方はもちろん、製品について詳しい情報をお知りになりたい場合も、ぜひALSIまでご相談ください。

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