ILP | 導入事例

八戸市教育委員会

InterSafe ILPの活用により、
ネットワーク分離された環境間で
ファイルを安全にやり取りする
仕組みを実現

青森県八戸市において教育行政を担当する八戸市教育委員会。同委員会ではICTの推進にも積極的に取り組んでおり、文部科学省のガイドラインに合わせてインターネット分離の環境を構築していましたが、校務系ネットワークと校務外部接続系ネットワークの間でファイルをやり取りする際の安全性が問題となっていました。そこで同委員会はアルプス システム インテグレーション(以下、ALSI)の情報漏洩対策シリーズ「InterSafe ILP」から、ファイル転送システム「InterSafe FileTransporter」(以下、FileTransporter)と、ファイル無害化オプション「InterSafe FileSanitizer Powered by OPSWAT」(以下、FileSanitizer)を導入。ガイドラインに準拠したネットワーク間のファイル転送およびファイルの無害化を実現しました。今回はその経緯について、総合教育センターの石井一二三氏と、導入業者であるビジネスサービスの村上隆之氏にお話をうかがいました。

写真:八戸市教育委員会 総合教育センター 主任指導主事<br>石井 一二三 氏<br>株式会社ビジネスサービス 八戸支店<br>営業G リーダー 村上 隆之 氏
八戸市教育委員会
総合教育センター 主任指導主事
石井 一二三 氏
株式会社ビジネスサービス 八戸支店
営業G リーダー 村上 隆之 氏

ネットワーク分離環境において
安全にファイルを受け渡ししたい

八戸市教育委員会のICT化はかなり進んでいると伺っています。現在(※2021年12月時点)の状況についてお聞かせください。

石井氏文部科学省の「GIGAスクール構想」に基づく環境整備を推進しており、2020年12月までに市内の全公立小中学校66校で1人1台端末約1万7,000台の導入が完了。日常的な活用が始まっています。教職員向けでは、1991年に八戸市教育情報ネットワークシステム(略称:HENS)をスタートさせ、グループウェアやメールなどを活用した校務の効率化を支援してきました。2016年には新たに校務支援システムを導入し、さらなる効率化や負荷軽減を図っています。

今回の導入に至った背景を教えてください。

石井氏2019年に文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に合わせるかたちで、ALSIの「InterSafe ILP」から、デバイス・ネットワーク制御ソフト「InterSafe DeviceControl」(以下、DeviceControl)とセキュリティUSBメモリ作成ソフト「InterSafe SecureDevice Ultimate」(以下、SecureDevice)を導入し、ネットワーク分離と安全なデータ持ち出しを実現しました。当委員会では、閉じた校務系ネットワークで利用する校務用デスクトップと、インターネットによるファイル共有やオンライン授業で利用する校務外部接続用デスクトップを1台の端末の中に用意し、先生方には用途に応じて切り替えてもらっていました。ネットワークごとに端末を使い分ける必要がないため非常に便利だったのですが、校務用デスクトップと校務外部接続用デスクトップの間でデータをやり取りする際、校務系ネットワークの環境へ有害なファイルを持ち込んでしまうおそれがあり、これを防ぐ仕組みはないものかと考えていました。

また、2021年5月には「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」が改訂され、セキュリティ対策の充実、データセキュリティの強化が求められることになりました。そこで、抜本的な対策としてファイルの無害化が必要ではないかと考えたのです。ちょうどそのころ、八戸市役所でファイル無害化システムの導入が始まっていたこともあり、当委員会でも検討することにしました。


既存製品との相性や
一元管理できるメリットなどを評価

製品選定の決め手はなんだったのでしょうか?

石井氏検討の際にはパートナーであるビジネスサービスから複数の製品を紹介してもらいました。その中からネットワーク間のファイル転送を行う「FileTransporter」とファイルを無害化する「FileSanitizer」を選んだのですが、その理由は、既に同じ「InterSafe ILP」のシリーズ製品である「DeviceControl」と「SecureDevice」を利用していたことが大きいですね。シリーズ製品なら相性の問題が出にくいでしょうし、仮にトラブルが起きたときも対応が一本化でき、どちらの製品に問題があるかなど悩む必要がありません。

加えて、先生方から「DeviceControl」と「SecureDevice」の評判がよかったこと、ALSIのサポート体制がしっかりしていたことも評価のポイントとなりました。両製品を活用したネットワーク分離環境は、画面上から簡単にデスクトップを切り替えできるので、先生方から「使いやすい」と喜ばれていました。管理する私たちから見ても、細かな設定が可能な点を高く評価しており、ALSI製品に対する大きな信頼感がありました。

導入の流れを教えてください。

石井氏具体的な動きがスタートしたのは2019年ごろで、2021年3月に予算が確定しました。入札で両製品の採用が決まり、要件定義などを経て9月で本契約となりました。そこから本格的なプロジェクトを立ち上げ、11月末に構築が完了しました。

導入工程におけるポイントはどこにありましたか。

村上氏構築についてもALSIにご協力いただいたので、予定通り数週間で終えることができました。「DeviceControl」「SecureDevice」の実績があり、システム環境をよく理解していただいていたこともあって、スムーズに進んだのだと思います。もし他社製品を選んでいたら、現場の先生方に新たに説明しなければならないことも多くなり、ここまでうまく進まなかったでしょうね。


セキュリティの向上に加え、
先生方のセキュリティ意識が
高まることに期待

すでに製品はお使いになられているのでしょうか。

村上氏今回は2つの製品を導入しましたが、実際に市内の小中学校の先生約1,400名が両製品を本格的に使い始めるのは、2022年4月からとなります。というのも、現在先生方はGIGAスクール構想の実現に向けて新しい授業をスタートさせたばかりだからです。GIGAスクール構想に合わせた先生用の端末も導入過程にあり、この段階で校務環境まで切り替えてしまうと、先生方が混乱してしまいます。

そこで、状況が落ち着いてから、説明会などを通じて今回の導入の意味を理解していただき、試運転で徐々に慣れてもらいながら新しい環境に切り替えていきます。まずは2022年2月頃に教頭先生向けの説明会を開催し、同時に操作マニュアルを整備しながら本番に備える予定です。

両製品の導入により、どのような効果を期待されていますか?

石井氏セキュリティの向上は大前提として、先生方のセキュリティ意識が高まることを期待しています。これまでの環境では、校務用デスクトップと校務外部接続用デスクトップのファイルのやりとりは、あくまで先生方の裁量にお任せしていました。しかし今ではこれがシステム化され、安全性が高まるとともに、やりとりする際の手順がひとつ増えることになりました。先生方にはこの手順を踏むたび、情報漏洩のリスクには常に注意を払うべきことを意識してもらえるように期待しています。

村上氏具体的なメリットをひとつ挙げると、これまでは校務用デスクトップと校務外部接続用デスクトップで容量が大きすぎるファイルはやり取りすることができませんでした。そのため、授業の中でクラウド上に大容量ファイルを共有しても手元に取り出すことができなかったのです。しかし今後は大容量ファイルでも安心してやり取りできるので、動画や写真などのリッチコンテンツを使った授業が可能になります。


校務系のデータを安全に
管理できることを条件に
オールクラウドを検討したい

将来の展望についてお聞かせください。

石井氏まずは校務環境のネットワーク分離を完璧にしたうえで、オールクラウドを検討していきたいと思います。ただし、オールクラウドとなると、オンプレミスのサーバー環境と比べてデータの置き場所が見えなくなってしまう心配があります。そのため、外部に漏れることが許されない校務系のデータを安全が担保された環境に置き、セキュアに管理することが重要になってきます。2年後のサーバー更新に合わせ、そうしたことが可能かどうか検討していきたいですね。

村上氏ネットワーク分離のさらなる取り組みとしては、外部デバイス経由で持ち込んだファイルの無害化や申請/承認履歴の管理、さらに個人情報を検出する「InterSafe PIS」による持ち出し時のチェックなどが考えられます。当社としても実現に向けて引き続きご提案していきたいと思います。

最後に、ALSIへの評価と今後の期待をお聞かせください。

石井氏ALSIの製品は品質が高く、サポートも充実しているのでとても満足しています。学校向けの機能やメニューをさらに充実させてもらえたら、教育現場での採用が加速すると思います。この点については私たちも協力を惜しみませんので、よろしくお願いします。


所在地:〒031-8686 青森県八戸市内丸1-1-1

八戸市教育委員会は、2013年1月に第1期八戸市教育振興基本計画を策定。「夢はぐくむ ふれあいの教育 八戸」の基本理念のもと、生きる力をはぐくむ教育、あらゆる世代がいきいきとかがやく教育の実現に向け、さまざまな施策を展開してきました。2018年2月には、今日の教育を取り巻く環境の急激な変化に対応し、新しい時代の要請に応えるべく、第2期八戸市教育振興基本計画を策定。現在は、「社会を生きるための力の育成」、「学びのセーフティネットの構築」、「学校教育をめぐる環境の充実」、「生涯を通じて学べる環境の充実」、「文化財等の保護の推進」の5つの施策を展開しています。


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