官公庁 | 導入事例
仮想デスクトップシステムをSecure Gateway Suiteへ切り替え
使い勝手が大幅に向上、業務の効率化に貢献
福島県浜通りの最北端に位置する新地町。同町は総務省の発表した「自治体情報システム強靭化向上モデル」に対応するため、2017年に仮想デスクトップシステムを導入。ところがレスポンスの遅さ、ファイルダウンロード時の二度手間など、使い勝手に問題があり、職員の負担となっていました。そこで同町はネットワーク更改に合わせて、システムのリプレースを決断。2024年4月にアルプス システム インテグレーション(以下、ALSI)のWeb分離・無害化パッケージ「Secure Gateway Suite(以下、SGS)」へ切り替えを実施しました。導入の経緯や効果について、町の広報システム全般を対応している舞木 和 氏にお話をうかがいます。
- 福島県新地町
総務課 財政係 副主査 舞木 和 氏
3層分離に対応するため仮想デスクトップシステムを導入も、
使い勝手の悪さに不満の声が高まる
--今回の導入の背景について教えてください。
(舞木氏)かつて当町では、総務省が発表した「自治体情報システム強靭化向上モデル(3層分離)」に対応するため、海外製の仮想デスクトップシステムを導入しました。しかし、このシステムは非常に使い勝手が悪く、運用負荷がかかっていました。
具体的にはどのような問題があったのでしょうか。
(舞木氏)一例を挙げると、ブラウザを開くだけでもパスワードが必要で、しかもすぐにはつながらず、特に職員が一斉にアクセスする朝は、動作もかなり重くなっていました。ブラウザでちょっとした調べ物をしたいときに、いつも30秒~1分程度のタイムラグが発生するというのは、職員にとって大きなストレスになります。
また、ファイルのダウンロードにも手間が掛かっていました。官公庁以外からの添付ファイルの多くは、ファイルを行政系(LGWAN系)端末でダウンロードする際に、無害化処理の関係で、行政系端末のリモートデスクトップを使用する必要がありました。インターネット系グループウェアからファイル無害化サービスで行政系グループウェアへファイルを送信し、行政系グループウェアの無害化サービスでファイルを受信します。毎回こうした作業が発生するため、当然ながら業務効率は落ちます。特に外部の業者と頻繁にファイルをやり取りしている部署にとっては大きな負担で、職員から不満の声が多く出ていました。
ほかにはどのような問題がありましたか?
(舞木氏)このシステムは、一定の時間が経過すると自動で接続が切断されてしまう仕様で、最大約1時間しかインターネットに常時アクセスできませんでした。このため、ネット接続が途中で切れてしまい、業務を強制的に中断させられるケースが頻発していたのです。町のサイトを作成していたのに編集の途中で切断され、一から作業をやり直したこともありました。
加えて、何かトラブルが起きた際にベンダーへ問い合わせてもレスポンスがなかなか返ってこず、業務が滞ることもありました。こうした背景から、システムのリプレースを検討しました。
使い勝手の良さに加え、他の自治体での実績や
コスト面を評価し、SGSを採用
SGS導入までの経緯と採用の理由を教えてください。
(舞木氏)2022年11月に検討を開始、翌2023年2月から庁内のネットワークの更新と合わせるかたちで本格的な調査をスタートさせました。その後、6月に庁内ネットワーク環境に知見のある事業者での指名型プロポーザル方式で業者を選定。その結果、SGSを提案したNTT東日本に決めました。
要件でこだわったのは、「町民の方々の個人情報を取り扱うことを考慮し、高いセキュリティを担保できること」「既存システムより使い勝手を改善できること」「何かあったときにしっかりしたサポートが受けられること」の3点です。中でも使い勝手については、ダウンロード時の二度手間の解消を必須としました。この点、SGSはダウンロード時に無害化処理の手間がかからず、無害化されたファイルがLGWAN環境へ自動で転送されるため、インターネット系と行政系を行き来してファイルを受け渡しする必要がありません。加えて、他の自治体での実績、コストも評価のポイントとなりました。
利便性が大幅に向上、セキュリティ強化や運用改善も実現
導入のスケジュールについて教えてください。
(舞木氏)2023年9月にPoCを実施。12月末から導入の作業に着手し、翌2024年4月に本稼働を開始しました。現在のユーザー数は200で、ほぼ全ての職員が利用しています。
SGSの導入によって得られた効果は何でしょうか。
(舞木氏)まず、ファイルダウンロード時の二度手間が解消されたことで、職員の負担が大きく減りました。また、無害化されたファイルには印が付くので、セキュリティが担保されていることが認識でき、安心感につながっています。
インターネットへのアクセスが勝手に切断されなくなったことも大きいです。以前は、町民からの問い合わせに対応する際、調べものの途中で接続が切れてしまい困ったこともありました。再びアクセスすればよいとはいえ、その手間と時間は町民と職員、双方にとってもストレスになっていました。SGSの導入でこうしたことはなくなり、町民の対応に集中できるようになりました。
セキュリティ面も強化されています。Webフィルタリングや仮想ブラウザによるWeb分離により、不正なWebサイトへのアクセスや書き込みが防止され、利便性を損なわずにセキュアなWebアクセスが実現しました。これにより、フィッシング詐欺等の被害を予防し、安心・安全が担保できたと感じています。また、不用意に怪しいWebサイトへアクセスすると警告が出るようになったので、職員のセキュリティ意識の向上にも役立っていると思います。
運用面では、SaaSを利用する際、庁内の閉域網を経由せず直接インターネットからSaaSへ接続させるローカルブレイクアウトを活用し、庁内ネットワークへのアクセス集中を分散させることが可能になりました。また、以前のようなリモートデスクトップシステム利用時のログインがなくなり、頻繁にパスワードを使うことがなくなったため、パスワードに関する問い合わせもほとんどなくなりました。
ゼロトラストの実現に向けてALSIの支援を期待
今回の導入の感想をお聞かせください。
(舞木氏)SGSの運用を開始してから約半年がたちましたが、職員からは使い勝手の向上を評価する声が多く、特に不満は出ていません。また、ALSIは問い合わせへのレスポンスも早く、サポートに対する安心感があります。
今後の展望についてお聞かせください。
(舞木氏)今後はクラウドサービスの利用がさらに増えていくと思われます。そのため、庁内のネットワーク環境を外部から利用することも想定した上でセキュリティ対策をとる必要があると考えています。実際、政府もこれまでの方針を見直し、"何者をも信用しない"ゼロトラストに基づくネットワーク構成へ対応することを打ち出しています。今後は、ゼロトラストの実現によっていかに業務を効率化していくかが課題になるかと思いますが、その解決に向けてもALSIの支援を期待しています。
福島県新地町
https://www.shinchi-town.jp/所在地:福島県相馬郡新地町谷地小屋字樋掛田30
福島県浜通りの最北端に位置する町。西は阿武隈山系、東は太平洋に面しており、温暖な気候が特徴。主な産業は農業と漁業で、特産品にニラやトマト、いちごやいちじく、カレイなどがある。東日本大震災では大きな被害を受けたが、徐々に復興が進みつつあり、復興により整備された新たな施設と既存の地域資源などを活用した発展が期待されている。2024年には、第75回ジャパン・フード・セレクションにおいて、地元で水揚げされた新鮮なタコを使用した町内事業者による「タコシウマイ」がグランプリに選ばれた。
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